外国人の日本旅行、いわゆる訪日インバウンドは今日、急増しています。
観光庁の発表によると、2016年の外国人観光客数は2400万人と、過去最高の数字を記録。
また、2020年には東京オリンピックが開催されることから、インバウンドは更なる増加を迎えます。
ただ、インバウンドが増加すればするほど、問題も増加していくのは明らかです。
様々な課題がありますが、その中でも今回は宗教についてピックアップします。
急増する訪日インバウンドと宗教の関連性
宗教文化の違い
外国人と日本人では、宗教文化に大きな違いがあるのは皆様もご存知のことと思います。
無宗教と呼ぶことのできる国は日本人ぐらいであり、外国人のほとんどが宗教文化を携えています。
彼らは自らの信仰によって、生活にさまざまな制限を受けます。
ここからは宗教別に様々な問題を検討していきます。
キリスト教徒
キリスト教徒は世界の約33%の人々が信仰している、世界最大の宗教です。
当然のことながら、外国人観光客にもキリスト教徒の方が多数いらっしゃいます。
キリスト教徒は、余程の敬虔な教徒でない限り、特に生活に設けられた制限はありません。
しかしながら、一部の教徒はアルコール類の摂取をしない方やベジタリアンの方もいる為、飲食店の料理提供の際には注意が必要です。
イスラム教徒
出典:関西ツーリストインフォメーションセンター
ムスリムは宗教の中でも制限が多く課されています。
そもそも東南アジアの人々の多くはムスリムで、2030年にはクリスチャンの数を上回るとされています。
食事面においても、経典であるコーランの制限を受けます。
その制限を満たした合法の料理のことをハラールと呼びます。
豚や豚由来の成分、アルコール類、血液成分が含まれていないことがハラールの条件です。
ハラール向け飲食店はもちろんのことながら、その店舗の案内所を設置するなど、様々な工夫がなされています。
また、ムスリムとして欠かすことのできない、1日5回が義務とされている礼拝です。
この対策として、関西国際空港や成田空港には、ムスリム用の礼拝堂が設置されています。
以上のように増えゆくイスラム教徒へのおもてなしの取り組みが徐々に広がりつつあります。
ヒンドゥー教徒
ヒンドゥー教徒はインドやネパールに多く存在します。
ヒンドゥー教徒は食事面で多くの制限を受けます。
それは、ヒンドゥー教が不殺生を旨としているためであり、彼らは基本的に肉類を口にありません。
そのため、多くの人々がベジタリアンとして生活しています。
単純に肉を口にしないライトなベジタリアンから、魚や卵に至るまで動物性のもの全てを口にしない厳格なベジタリアンが存在します。
このような文化を受けて、観光地の飲食店では、ベジタリアン向けメニューの企画等が積極的に行われています。
仏教徒
仏教徒は元来精進料理を好んできました。
そのためにかつては多くの制限が食事に課されていた模様ですが、現在はほとんどと言っていいほど食事及び生活に関する制限はありません。
しかしながら、一部の厳格な教徒や僧侶などは未だに厳格性を携えているので、確認が必要でしょう。
宗教文化を理解すること
無宗教と呼べる日本人にとって、インバウンドにおいて目にする外国人観光客の宗教文化には多少の違和感を感じることでしょう。
しかしながら、彼ら外国人観光客にとっては当然のしきたりであり、インバウンドおいてもそのしきたりを実行しない理由がありません。
また、おもてなしをする側の我々日本人にとっても、インバウンドは重要なビジネスフィールドであるため、彼らを理解し、上質なサービスを展開していくことは欠かせぬことでしょう。
訪日インバウンドの約6割はリピーター客であると言われています。
彼らの文化を理解し、施しを行うことが、インバウンドにおけるビジネスの発展のカギを握ることの一つになるのではないでしょうか。