数年前から町中で見かけることが多くなった外国人旅行客。
外国人旅行客の数は増加の一途を辿り、2020年には4,000万人に到達すると予想されています。
東京オリンピック開催に向けてその数が爆発的に伸び続けることは間違いないでしょう。
そんなさなかの日本で外国人を見る機会が増えたと感じている人は多いかも知れませんが、その旅行形態に変化が生じていることに気付いている人は少ないのではないでしょうか?
FIT(個人旅行客)の増加とその理由
FIT(個人旅行客)の増加
現在2,000万人にものぼる外国人旅行客のうち80%がアジア圏からの旅行客であり、数年前まではそれらの多くはツアーによる団体旅行客でした。
中国人観光客による「爆買い」が流行語になったことも団体旅行客の多さの裏付けと言えるでしょう。
日本へのツアーが各国の旅行会社で企画され、訪日ブームと呼べるような状況が発生しました。
しかし、その状況にも変化の兆しが見えつつあります。
近年ではFIT(Foreign Independent Tour)と呼ばれる個人旅行客が増加しているのです。
この資料は中国人の訪日の形態別データです。
今世界各地で、特にツアー企画の多かったアジア圏で同様のデータが発表されています。
このようなFIT増加の推移にはどのような背景があるのでしょう?
FITが増加した理由
近年FITが増加している理由にはいくつかの理由が挙げられます。
まず、団体旅行客としてツアーに参加するより個人旅行客として訪日した方が、金銭的にお得になる場合が多いことです。
これは仲介業者として旅行会社を挟むことでマージンが発生してしまうためです。
次に、ニーズの多様化が挙げられます。
日本に来て「買いたいもの」「食べたいもの」「体験したいこと」は人によって様々です。
団体旅行の場合、旅行会社によって厳選されたツアーが組まれていたとしても、それが全ての旅行客のニーズを満たしているとは限りません。
団体旅行にも自由時間こそありますが、時間の関係上行動範囲が著しく制限されてしまいます。
しかし、個人旅行客として来ればお金と時間の許す限り、充実した旅行を満喫することができます。
それなら、「もともと団体旅行を使う意味はないじゃないか」と思う方もおられるはずです。
数年前まで団体旅行客が多かった理由は何なのでしょうか?
その鍵を握っているのはネットの普及です。
昔は旅行代理店を介さなければ入手できなかった情報も、今やネットで簡単に収集できるようになっています。
飲食店から観光地、宿泊施設に及ぶまでスマホ一つで情報収集が可能です。
近代化に伴うこれら一連の環境変化は個人旅行客にとっては嬉しい状況と言えますが、日本の企業にとっては大きな山場となっています。
山場とはいったいどういう意味でしょうか?
FIT(個人旅行客)個々に対するプロモーションの必要性
これまでは旅行会社が仲介してくれていたので、自店がツアーに組み込まれさえすれば一定の利益を享受することができていました。
しかし、ニーズの多様化に伴い「個人で選択する」ことが主流となってきている近年では、外国人旅行客、特にFITに直接的なプロモーションをする必要があるのです。
つまり、プロモーションの客体が「特定の旅行会社」から「不特定多数のFIT」へと変化しているのです。
この個々に対するプロモーションの必要性は、近年の旅行スタイルの変化からも窺がうことができます。
事前に調べて決めておくのではなく、現地で探すスタイルの旅行が人気になっています。
つまり、「京都 祇園 和食」などと検索してヒットしなければ、外国人旅行客の選択肢には入らないのです。
これら外国人旅行客のニーズの調査からプロモーションまでを一貫して個人で行うのは専門的な知識があったとしても容易なことではありません。